【社会】飲酒・無免許運転中に家族５人を死傷させた事件、懲役１０年に遺族からは憤りの声

久喜市で昨年１１月、飲酒・無免許運転中にパトカーの追跡を逃れようとしてワゴン車に衝突し、
平松正嗣君（当時９）ら家族５人を死傷させた事件。９日開かれた判決公判で、
危険運転致死傷罪などに問われた同市本町２丁目、とび職座間味政之被告（２１）の刑は懲役１０年だった。
遺族は「短い。何年でも短い」と、改めて我が子を奪われた悔しさをにじませた。

若原正樹裁判長は、座間味被告が飲酒運転などが見つかり実刑を受けることを恐れて逃走したことを
「他人の危険を顧みず、事故さえ起こさなければよいという極めて安易で自己本位な考え」と厳しく非難。
「子供たちが参加するマラソン大会に向かう途中の幸福なひとときから、一転して悲惨な事故に遭遇した。
残された家族の喪失感、悲嘆は強い」と遺族の心情を酌んだ。
言い渡し後は「服役中も出所後も何がいけなかったかをよく考えるように」と諭した。

母和江さん（３８）は昨年５月、兄たちが出場したマラソン大会で撮影した笑顔の正嗣くんの写真をひざに載せて傍聴。
史朗さん（４５）は硬い表情を判決後も変えずに「正嗣が戻ってくるわけではなく（座間味被告を）到底許すことはできない」と静かに話した。
一家は今も正嗣君の骨壷（こつつぼ）を自宅の一室に置き、その存在を感じながら暮らす。
姉の七那さん（１２）は正嗣君とよくマラソンの練習をした。今も学校から戻ると玄関で「正嗣行くよ」と声をかけてから練習に出かける。
史朗さんは「うちはずっと６人家族です。これからもずっと正嗣と一緒に生活していきたい」と話す。

座間味被告は退廷の際、初公判のときにはなかった白髪が交じった頭を、傍聴席の遺族に向かって深く下げた。
座間味被告の弁護人は「控訴はしない」と話した。

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